sumiikasumiの日記

とりあえず始めたところです

隷属なき道~産経新聞書評から

粛々とサブジェクト(お題)に即して参りましょう、

引き続き、ルトガー・ブレグマン「隷属なき道」、

産経新聞書評から(↓)。

https://www.google.co.jp/amp/www.sankei.com/life/amp/170709/lif1707090027-a.html
(産経新聞、「ジャーナリスト・小林雅一が読む、『隷属なき道~AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』、ルトガー・ブレグマン著/野中香方子訳、格差社会を生き抜くためには、書評」、 2017/07/09/12:38)

《コメント》
・ 振り返ると朝日での書評は、評者が短資会社のアナリストによるものということで、そのチョイスが異色だったけれど、この産経での書評の評者は、KDDI総研のリサーチャであり、産経のチョイスはAIの専門家によるものとなっていて、時節にかなっていると言える。

・ 小林雅一氏による直近の著作はこちら(↓)であるが、DeepMindのアルファ碁による今のブーム以前に著されている。

http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062883078
(講談社BOOK倶楽部、小林雅一、「AIの衝撃~人工知能は人類の敵か」、2015/03/18、講談社現代新書)

・・・

さて、以下に書評の一部を引用し、コメントを付けておきましょう。

>> 著者はオランダ出身の歴史家・ジャーナリストで、広告収入に一切頼らない報道団体「デ・コレスポンデント」の創立メンバー。

《コメント》
・ バックグラウンドの紹介は重要。著述の基本的な視点が「歴史」に置かれているということが事前分かるし、同書(隷属なき道)のベーシック・インカムの歴史の記述にトリビア的な造詣があることも、これで理解できる。

>> 社会の閉塞感を招いている主な理由は、かつてない格差社会の到来。21世紀に入るとロボットやAI(人工知能)の発達によって生産性は過去最高のレベルに達する一方で、労働者の平均収入が落ち、雇用が減っている。テクノロジーに支えられたグローバル経済の中で「勝者が独り勝ちする社会」がやってきた。

《コメント》
・ 論者(ブレグマン氏)や評者(小林氏)と見解を相違するところかもしれない。

・ 生産性の上昇がAIに起因すると見なすのには時期尚早で、人と資本の移動に象徴されるトランスナショナル経済への移行による経済社会現象である。また、独り勝ち(上位総取り)というには、近年のビジネスモデルの特徴に起因する。(私見)

>> それに対する処方箋は「人々にただでお金を配ること」と著者は説く。生活保護など従来の社会保障制度は、社会福祉課の職員が大勢必要になり、多額の予算がかかる。

《コメント》
・ グローバルで構造的な「賃金デフレ」にどう対処するか?が、発想の原点となる。

・ その有力な選択肢の一つが、「ベーシック・インカム」ではないか、というのが論者の主張である。

・ 改めて、従来型の社会保障を論者が主張しているわけでは全くない。

>> 本書はさまざまな調査結果やデータを明快に提示することで、相応の説得力を持っている。斬新な視点や、ときにユーモアを交えたレトリックも優れている。
>> 一方で、従来の社会保障制度を固守する官僚機構に対抗し、どのようにベーシックインカムのような画期的制度を実現していくか、その具体策までは言及していない。

《コメント》
・ 最後のこの部分が評者による感想の箇所。引用部分の前段が同書の特徴であり、後段が足りていないと見られるところ。

続く。

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