sumiikasumiの日記

とりあえず始めたところです

朝鮮半島情勢~米中協力のための必要条件は何か? 米中が北を挟撃する日?@産経

粛々と参りましょう、

【問】 中国はこれまで北朝鮮に、なぜ十分な経済制裁を課すことができなかったのだろう?

【問】 今回の中国共産党大会で、何が大きく変わるのだろう? 何がそこで決定的に重要なのだろう?

【問】 11月のトランプ大統領の訪中で、何が話し合われるのだろう?

【問】 安倍首相が衆院解散に踏み切ったのはなぜだろう?

幾つかの設問を重ねた上で、

表題副題は産経のこちら(↓)のヘッドラインから。

取り上げる理由は、

マスメディアの本来の実力を示す「調査報道」の真骨頂をそこに見ることができるから、

また、論者(野口氏)が記している事柄の幾つかが、自分(墨烏賊墨)が得ている軍事情報筋からのものと符号するからである。

・・・

直接の参照は個々人の関心の程度に委ね、重要と見る箇所につき、コメントを付しておきましょう。

https://www.sankei.com/premium/amp/171016/prm1710160007-a.html
(産経、野口裕之、「中国軍が強襲する敵は米韓軍ではなく北朝鮮軍! 米中が北を挟撃する日は来るのか?」、2017/10/16/07:00)

記事の論旨は大きく二点あり、1) 中国軍が想定している軍事衝突のシナリオが大きく変わっていること、2) 38度線に替わる落とし所となる「米中分割統治」に際しての中国側の障害/ハードルについて、である。

キーワードとなるのが朝鮮族である。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/朝鮮族

・・・

まず、前半の論旨に関わる重要な箇所を引用すると、

>> 安全保障関係者と先日行ったシミュレーションには、いささか驚いた。
>> 《人民解放軍鴨緑江渡河》は、過去の小欄でも触れてきたので驚きはなかった。ところが、渡河を敢行する人民解放軍の戦略・作戦目的が3月に行ったシミュレーション結果とは激変していたのだ。

《コメント》
・ 安全保障関係者が誰(何処)を指すかは分からないが、日米、米中それぞれにおいて交流が行われていて、シミュレーションに反映される。

・ 周知の通り、米国は北朝鮮への包括的な経済制裁に中国を取り込もう/インボルブしようとしてきたが、取り込もうとするのは「経済力」に限らない。

《問》シミュレーションのどこがどう変わったのか?

3月のシミュレーション(↓)。
>> 3月のシミュレーション結果は、一部ながら同月の小欄に載せた。以下、紹介する。

>> 《4年以内に米軍が北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける確率は50~60%となった。あまりの高さに、インプットする前提条件を変えてみたが、50%を割るケースは皆無であった》

10月のシミュレーション(↓)。
>> これに対して、わずか7カ月後に実施した今次シミュレーションでは真逆の理由が加わった。一部を記す。

>> 《半年以内に米軍が北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける確率は60~70%となった

>> 《米軍の対北攻撃に呼応して、中国人民解放軍鴨緑江を渡河し、河の数十キロ南の北朝鮮の核関連施設が所在する一帯を占領。緩衝帯として暫定統治する。

《コメント》
・ 大きく二つの違いがある。

・ 一つは、軍事衝突の時期 が大きく前倒しされていること、もう一つは、米中対峙から米中協力へと、米中関係 が変わっていることである。

・・・

《問》 早期開戦、米中協力のシナリオに「現実性」はあるのだろうか?

その現実性、言い換えれば米中協力の障害/ハードルが何か? についての指摘が、記事のもう一つの論旨に相当する。

《問》 米中協力の障害/ハードルは何か?

>> (米中協力は) 事実上、北朝鮮の「米中分割統治」だが、このシナリオの主要な前提は2つある。

>> 一つは、米国と中国が北朝鮮金正恩政権崩壊後の政権で談合し、合意することだ。

>> (中略、大幅割愛)

>> 北朝鮮の「米中分割統治」に必要な二つ目の前提は、中国の習近平指導部が、金正恩体制の核・ミサイル開発を支える旧《瀋陽軍区》を制御 or 解体できるか否か。

《コメント》
・ 米中協力には二つの条件がある。

・ 一つは、米中の談合。利害調整である。(どういう利害調整が要るのかは後述。) もう一つが、習近平指導部による軍閥の掌握である。

・ 詳細は、本文の参照に委ねるが、重要なポイントは、中国の現指導部は、北部戦区の旧瀋陽軍区を十分に指揮・統制・掌握できていない ということである。(この点が、自分が得ている情報と一致する箇所。朝鮮半島問題は中国の「内政」を直撃するのである。)

・・・

冒頭の設問に立ち返ってみると、

【問】 中国はこれまで北朝鮮に、なぜ十分な経済制裁を課すことができなかったのだろう?

【答】 中国現指導部が北部戦区の軍閥を十分に掌握できていないため。また、十分な指導力を確保しないまま踏み込むと、内政上の困難に直面し得るため。

【問】 今回の中国共産党大会で、何が大きく変わるのだろう? 何がそこで決定的に重要なのだろう?

【答】 習近平政権の第一期5カ年(2012/11~)は、胡錦濤前政権からの移行期であり、第二期5カ年(2017/11~)が事実上の習近平指導部の確立に相当する。決定的に重要なのは、反習近平指導部と重なり合ってきた北部戦区の掌握である。それを大きく可能にする重要な要素が、人事とともに注目されている「党規約」の改正である。

【問】 11月のトランプ大統領の訪中で、何が話し合われるのだろう?

【答】 米中協力の二つ目の条件(軍閥の掌握)がクリアできると、米中の交渉そのものは、比較的容易に進む。何が話し合われるか? は、概ねこちら(↓)に網羅されている。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10803?layout=b
(Wedge岡崎研究所、「北朝鮮問題、中国は準備をする以外に選択肢はない」、2017/10/17)

委細省略で米中間の五つの課題(↓)を列挙すると、順に、核管理・緩衝地域の設定・治安維持活動・戦後体制の確立・軍縮である。

>> 第一に、誰が北朝鮮核兵器を管理するかという問題がある。

>> 第二に、予想される難民にどう対処するかという問題がある。

>> 第三に、誰が北朝鮮の国内秩序を回復させるかという問題がある。

>> 第四に、危機の後の政治的アレンジメントの問題がある。

>> 第五に、THAADの撤去の問題がある。

・・・

【問】 安倍首相が衆院解散に踏み切ったのはなぜだろう?

【答】 首相も言明しているように、「北朝鮮問題」が最優先されていることに間違いはない。なぜ、それが優先されるのか? について、首相はこれまでの経緯について語り、これからについてはほとんど語っていないが、状況証拠により推測すると、1) 中国共産党大会、トランプ大統領の極東アジア歴訪により、米中協力が進捗する可能性がある、2)その場合は、「半年以内に米軍が北朝鮮に先制攻撃を仕掛ける確率は60~70%となった」というシミュレーションが現実性を帯びる、となるからであろう。

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