sumiikasumiの日記

とりあえず始めたところです

梟通信~量子超越性に突き進むGoogleの野望 @日経ビジネス

粛々と参りましょう、

表題副題は日経ビジネスのこちら(↓)から。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/061700004/121300243/?P=2&ST=smart
(日経ビジネス、「量子超越性に突き進むGoogleの野望」、2017/12/16)

冒頭に記されている記事の概要がこちら(↓)。
>> 「2017年12月下旬から『量子超越性』の実証を開始する」「量子コンピュータクラウドサービスを提供する計画だ」――。米Googleと米カリフォルニア大学サンタバーバラ校で量子コンピュータの開発を率いるJohn Martinis氏はそう力説する。量子コンピュータに注ぐGoogleの並々ならぬ野望を解き明かそう。

《コメント》
・ 記事中にある通り「量子超越性」というのは、計算能力において、ざっくりと量子コンピュータが既存のコンピュータより優るということを示すことであるが、それが示させるのは近々かもしれない、という話。

・ 果たしてそれが、誤り訂正なしに50quビット前後のゲート方式の素子で示せるのか? は、記事中にあるように、IBMGoogleとで見解が割れている。(だから、もしGoogleが実証試験に成功するようだと、コンピュータ史上の画期となるわけである)

・ また記事中にあるように、量子コンピュータが挑む当面の障壁は、「量子超越性の壁」と「有用性の壁」の二つであるが、これらは結局は、どういう問題を解くことに量子コンピュータが大きな優位性を示せるか? による。言い換えれば、計算量が指数関数的に爆発する「NP完全問題」や緩めの「NP問題」にどこまで迫れるか? となる。或いは、特化した問題として、超高速の「因数分解」で既存の暗号を破れるか?となる。(後者は特化型で応用範囲はかなり狭いが、安全保障や金融への影響は甚大である)

・・・

・ 個人的には、どちらかと言えば、量子コンピュータとは別方式の「量子アニーリングマシン」を興味深く眺めている。所謂、D-Waveマシンの流れである。

・ なぜか? と言えば、量子アニーリングマシンは、NP問題を「Isingモデル」に置き換えて解くというアプローチであり、そのために特化した実装であるが、同時に、人工知能の確率推論での「グラフィカルモデル」はIsingモデルを含み、一定の条件下(木構造の制限)の元でそれらは「等価」であるためである。つまり、Isingモデルが量子アニーリングマシンでもし容易に解けるとなると、(NP問題の解法に接近するだけでなく) 人工知能での確率推論能力が飛躍的に向上し得ると強く推測されるからである。

・ 高度な確率推論とは何だろうか? コンピュータが「連想」や「想起」の能力を得る・・問題の発見や設定である。今までヒトが与えていたものを自ら生み出すという《自律》の能力である。知能が何か?は定かでないが、連想や想起(閃き、Aha)、問題の発見や設定を知的、或いはヒト的とみなすなら、そうした機能を有する機械は、いよいよ知能を持つと形容するに相応しいと言えるでしょう。

ーーーーーーーーーーーー

表題のゲート方式での「量子超越性」は、年央からちらほら取り上げられていたので、来年に起こり得るイベントのために、列挙しておきましょう。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/17/062900267/062900001/?ST=spleaf
(日経ITPro、「量子超越性、米IT大手が一番乗り競う」、2017/07/04)

https://www.technologyreview.jp/s/38991/googles-new-chip-is-a-stepping-stone-to-quantum-computing-supremacy/amp/
(MITテクノロジーレビュー、「グーグル、年内に量子超越性量子チップを実験へ」、2017/04/25)

ーーーーーーーーーーーー