梟通信~重力波検出の陰の立役者、物理学の定説を覆す理論が貢献@産経 不確定性原理の再出発(*´∀`)
まったりと参りましょう、
重力波検出の陰の立役者、物理学の定説を覆す理論が貢献@産経
不確定性原理の再出発(*´∀`)
整理すると、
記事の前半は、重力波の検出で《量子限界》をいかに克服するか? という課題に、「小澤の測定理論」(1984-1986)がいかに大きく貢献したかという話、
記事の後半は、ハイゼンベルグの限界は破れるにせよ、どの程度破れるのか?という新たな疑問に「小澤の不等式」(2003)が答え/仮説を出し、更にそれが中性子スピンの測定を通じて実験的に確認されたという話。
とても興味深いのは、
探索の手段としての重力波は、世界がどうなっているか?をこれから我々に教えることになるが、
重力波の検出を可能にした創意工夫は、世界がどうなっているか? と考える時の我々の思考の枠組みに変化を促しているというところにある。
不確定性原理は(相対性理論とともに)、自然科学的世界像を変えたけれど、その不確定性原理の「再出発」もまた、世界像を変え得る/変えつつあるとなる。
・・・
http://www.sankei.com/smp/premium/news/171008/prm1710080019-s2.html
(産経、「ノーベル賞、重力波に陰の立役者、名大・小澤正直特任教授、物理学の定説覆す理論で貢献~クローズアップ科学」、2017/10/08/10:00)
《コメント》
・ 重力波そのものは、一般相対論の帰結であるが、重力波の検出では、一般相対論と無関係な量子力学での観測理論(の新説)が陰の立役者となっている。
・ 要旨に相当するのはこちら(↓)の箇所。
>> 1980年代半ばまで、ドイツの物理学者ハイゼンベルクが提唱した量子力学の「不確定性原理」から導かれる観測精度の限界(標準量子限界)があると信じられていた。LIGOが採用した干渉計型の装置では重力波観測は不可能だとする考えが、当時の物理学界の圧倒的主流だった。
>> 「その問題は、すでに私が解決済みだ」1986年、東京で開催された国際会議で小澤氏は手を挙げた。「干渉計型でも観測精度の限界を破る方法があるはずだ」と主張する米国の研究者の講演後のことだ。
>> 小澤氏が1984年に発表した量子測定に関する数学理論「小澤の定理」を重力波の観測に当てはめると、干渉計型で標準量子限界を確かに破ることができると、表明したのだ。
・ マイ理解では、1)当時は「共鳴型検出器」が主流だったが、検出できる重力波の帯域が狭いことと量子限界が問題になっていた、2)このため 「レーザー干渉計」への移行期にあったが、いざ大型プロジェクトとして巨額の予算をつけるとして、果たして検出できるのか? という懐疑論があり、3) 懐疑論の主たる理由の一つが量子限界であったが、4) 量子限界を超えられるとする実験手法の提案を、「小澤の測定理論」が肯定的に後押しし、大型プロジェクトにGoサインが出た、という経緯である。
以下は、関連情報。
http://www.nikkei-science.com/?p=16686
(日経サイエンス、「ハイゼンベルクの不確定性原理を破った!小澤の不等式を実験実証」、2012/01/16)
ー 「小澤の不等式」(2003)の実験的検証に成功。
https://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Highlights/20120223180000/
(高エネルギー研究所、量子力学の基礎概念を見直す、2012/023)
ー 同上。
http://ascii.jp/elem/000/000/919/919450/
(ASCII、「量子チェシャ猫を実験で実証~本体とは別のところにその性質だけが存在する量子力学の不思議な世界」、2014/07/30)
ー 不確定性原理の再出発のその後の事例。性質は本体に帰属するはずだが(実在論)、どうもそうなっていない(実証論)。その実証論を納得すると、新実在論である。(パラダイムの転換に相当)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E6%80%A7%E5%8E%9F%E7%90%86
(Wiki、不確定性原理)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%BE%A4%E6%AD%A3%E7%9B%B4
(Wiki、小澤正直)
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